EPISODE6、【ぱっかーん】

ーー遠征騎士団防衛線付近の森にて。

魔物の軍勢が信仰を続ける中、白き鎧を身に纏う騎士風の男が、エイブルに差し向けた部下の報告を待っていた。

背中には赤き大鎌が。

【狩る者】だった。

「遅いな。エイブル如きに何を手こずっているのやら」

エイブルを始末するために、差し向けた部下達が約束の時間を1時間過ぎても戻って来ない。

【狩る者】の筋書きでは、エイブルを始末すればホープの率いる組織は壊滅するはずなのだ。

呆れた様子で、時刻を確認すると、黒の鎧を身に纏う部下達が続々と集まって来る。

「軍団長。【遠征騎士団】、迎撃の準備が完了したようです」

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部下の一人がそう述べると、軍団長と呼ばれた【狩る者】は首を傾げる。

「あのさぁ。エイブルを始末しに行った奴らが戻らないんだけど、どう思う?」

狩る者は、報告した部下に尋ねると、部下は直ぐに返答する。

「予想以上に苦戦しているのでは?しかし、万が一にでも我らが敗北するはずがありません」

「どうして?」

「ですから…」

「あー、違う違う。どうして、そう言い切れるのかって聞いてるんだよ」

「我らは選りすぐりの精鋭。そこら辺の軍と一緒にされては…」

「ぱっかーん!」

狩る者が叫ぶと、他の部下達が驚きのあまり、後ずさってしまう。

返答した部下の頭が割れて、血を噴き出したからだ。

「あ…あ…」

「う…」

部下達は言葉を失う。

突如として、部下の頭が割れたのだ。

無理もない。

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「君らさぁ、勘違いするなよ。本来、処刑されるはずだった君らを誰が使ってやってると思ってるんだ」

「も、申し訳ありません!」

「じゃあ頼むが、失敗したら…分かるよね?」

部下達は深く頷いて、持ち場へと向かった。

「あの子を向かわせても良かったんだが、手こずってるみたいだしね」

狩る者は、不測な事態に面を食らっていた。

頼みの綱である実力者が何者かに足止めを受けている。

思った通りに事が運ばない事態に落胆した。

フィルゼン達が駆ける戦場は、泥沼化しており、乱戦状態に陥っていた。

奮闘する者もいれば、既に命を落とした者さえいる。

気が張り詰めるこの戦場で、サイシンが抜擢したフィルゼン達は予想通りの戦果を上げていた。

「おい、ガキ!あんまし無理すんなよ」

兵士の一人が叫ぶも、フィルゼンは目の前に立ちはだかる魔物を次々と撃破していった。

「次…!」

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フィルゼンは、トロルの大振りをかわし、剣で数回足を切り付けると、体勢を崩したトロルの頭を貫き、撃破する。

トロルの屍を踏み越え、スライムナイト3匹が攻撃を仕掛けて来るも、斬り伏せてみせた。

「このまま押し返せっ!」