第二章~EPISODE9【予兆】

「【あの話】って?」

ティーがパールスに尋ねる。

f:id:F-Zen:20210805175251j:plain

「ああ。元帥に昇進させろと、うるさくてな」

「何それ。大きく出たねー。まっ、楽しみにしとくよ」

「さて、アルバ王国には、トレートル、ヘレス、プティーの3人で向かえ。王女と【不死鳥】は生きたまま捕らえろ。いいな?」

パールスが命じる。

「そんじゃ、行くかー」

トレートル達3人も部屋を後にする。

「ネグロは、さっさとヘステル共和国を落とせ」

「了解」

ネグロも部屋を後にする、

「アウルムは、後で私の元へ来い」

「……」

こくりと頷き、部屋から出て行った。

部屋から誰もいないのを確認し、呼び掛ける。

「ソルフ。いるな?」

「ここに…」

f:id:F-Zen:20210805175343j:plain

ソルフと呼ばれた少女が、何もないはずの空間から姿を現す。

「貴女も、酷な事をしますね」

「何がだ?」

「プルルスは勝てませんよ。それが分かっていて、差し向けたのでしょう?」

「ふん…、当然だ。使えない駒は必要ない」

「何人、死ぬ予定です?」

「少なくとも、3人は死ぬだろうな。あの程度で負けるようじゃ、これから先、役に立たないからな。それに、もう既に新たな仲間の目星は付いたんだろう?」

「指示通りに」

パールスは、不敵な笑みを浮かべる。

「ソルフ。貴様にも任務だ。邪魔する者は全て消せ」

f:id:F-Zen:20210805175416j:plain

「…気が向いたら、そうさせてもらいますよ」

ソルフは再び、空間の中へと消えた。

「君が【定例会】に出ているとは、思わなかったよ」

ナルゼと武装国家ベスルの護衛が顔も合わせずに言葉を交わす。

f:id:F-Zen:20210805175432j:plain

「ナルゼか。ほんの気まぐれ…と言いたいところだが、【不死鳥】が来ると聞いてな。お目に掛かりたくてな」

「他人に興味を示すなんて、珍しい」

「ふん。【不死鳥】は、お前より強いのか?」

「……」

「お得意のだんまりか。戦えなくなったお前よりは強いと期待しよう」

ナルゼは、少し俯き、歩き出した。

それを横目に護衛は、鼻で笑う。

ナルゼは何やら考え事をしながら、石畳の廊下を歩いていると、少女が何やらそわそわしているのが目に入る。

「イリスは、何をしているのかしら…」

ナルゼは、その姿を見た途端、頭痛がする。

f:id:F-Zen:20210805175529j:plain

「ストリア…」

f:id:F-Zen:20210805175508j:plain

ナルゼは、その名を口にすると、少女がナルゼに気付く。

幸い、少女には聞こえていない。

「ん?貴方は確か…アルバ王国の…」

アルバ王国騎士団団長のナルゼです。ストロット陛下」

ナルゼは、その場に跪く。

アルバ王国騎士団長が、何か用かしら?」

大国ゼバン国王レストの一人娘、【戦姫】ストロット。

ナルゼにそう尋ねる。

f:id:F-Zen:20210805175600j:plain

「いえ…」

ナルゼは、その場を後にした。