第二章~EPISODE9【予兆】
「【あの話】って?」
プティーがパールスに尋ねる。
「ああ。元帥に昇進させろと、うるさくてな」
「何それ。大きく出たねー。まっ、楽しみにしとくよ」
「さて、アルバ王国には、トレートル、ヘレス、プティーの3人で向かえ。王女と【不死鳥】は生きたまま捕らえろ。いいな?」
パールスが命じる。
「そんじゃ、行くかー」
トレートル達3人も部屋を後にする。
「ネグロは、さっさとヘステル共和国を落とせ」
「了解」
ネグロも部屋を後にする、
「アウルムは、後で私の元へ来い」
「……」
こくりと頷き、部屋から出て行った。
部屋から誰もいないのを確認し、呼び掛ける。
「ソルフ。いるな?」
「ここに…」
ソルフと呼ばれた少女が、何もないはずの空間から姿を現す。
「貴女も、酷な事をしますね」
「何がだ?」
「プルルスは勝てませんよ。それが分かっていて、差し向けたのでしょう?」
「ふん…、当然だ。使えない駒は必要ない」
「何人、死ぬ予定です?」
「少なくとも、3人は死ぬだろうな。あの程度で負けるようじゃ、これから先、役に立たないからな。それに、もう既に新たな仲間の目星は付いたんだろう?」
「指示通りに」
パールスは、不敵な笑みを浮かべる。
「ソルフ。貴様にも任務だ。邪魔する者は全て消せ」
「…気が向いたら、そうさせてもらいますよ」
ソルフは再び、空間の中へと消えた。
※
「君が【定例会】に出ているとは、思わなかったよ」
ナルゼと武装国家ベスルの護衛が顔も合わせずに言葉を交わす。
「ナルゼか。ほんの気まぐれ…と言いたいところだが、【不死鳥】が来ると聞いてな。お目に掛かりたくてな」
「他人に興味を示すなんて、珍しい」
「ふん。【不死鳥】は、お前より強いのか?」
「……」
「お得意のだんまりか。戦えなくなったお前よりは強いと期待しよう」
ナルゼは、少し俯き、歩き出した。
それを横目に護衛は、鼻で笑う。
※
ナルゼは何やら考え事をしながら、石畳の廊下を歩いていると、少女が何やらそわそわしているのが目に入る。
「イリスは、何をしているのかしら…」
ナルゼは、その姿を見た途端、頭痛がする。
「ストリア…」
ナルゼは、その名を口にすると、少女がナルゼに気付く。
幸い、少女には聞こえていない。
「ん?貴方は確か…アルバ王国の…」
「アルバ王国騎士団団長のナルゼです。ストロット陛下」
ナルゼは、その場に跪く。
「アルバ王国騎士団長が、何か用かしら?」
大国ゼバン国王レストの一人娘、【戦姫】ストロット。
ナルゼにそう尋ねる。
「いえ…」
ナルゼは、その場を後にした。