第二章~EPISODE26【力】

(ゼバン筆頭騎士と言えど、アタシの能力の前では無力♪もしかしたら、他の幹部よりも強かったりして)

バイは、ふふっと笑みを零す。

自身の力に酔い知れていた。

それもそのはず、今では大国ゼバンとなっているが、小国であった時、筆頭騎士と聞けば、知る人ぞ知る実力者。

それがナルゼだった。

ゼバン筆頭騎士。

大地を血で染めた事がある殺戮者。

その異名を持つとされる。

実力者ほど、その高き壁に挑みたいという気持ちがある。

バイの気持ちが満たされた。

何よりも、あの時の憂さ晴らしがようやく果たす事が出来る。

すると、思いも寄らぬ殺気が、バイを正気に戻す。

「有り得ない…!立ち上がる者なんて…」

立っていた。

精神が崩壊したはずのナルゼが。

その場に立っていた。

尋常ならざる殺気を纏って。

「ふぅ…貴様には礼を言う。ようやく俺は約束を果たせそうだ」

「何を言っているのよ。貴方はアタシに手も足も出ないじゃない?」

「【あの鎧】が教えてくれたんだ。力の使い方を」

「何の話?」

「当然だが、力は何かを護るためだけに存在しない。何かを壊すためにも存在している」

「それが何だって言うのよ!」

「だから俺は…お前を殺すために、この力を使うとするよ」

「寝言は寝て言って欲しいわね!」

バイは、鉄扇を翻し、背を向けているナルゼへと急接近。

首を地面に落とそうと、振り上げた瞬間だった。

バキン。

鈍い音と共に、鉄扇が砕け散った。

「な!?」

流石のバイも驚かざるを得なかった。

ただの鉄扇ではない。

岩を砕く程の魔力を纏っていたのだ。

慌てて飛び退き、自身の手を見つめる。

震え。

恐怖によるものか、衝撃によるものなのか。

認めたくはない。

恐怖によるものであると。

しかし、異様な殺気を纏う、ナルゼを前にして足が竦んでいる。

「行くぞ…」

ナルゼは、バイの懐に飛び込むと、既に剣を振り抜く体勢だった。

呆気に取られる。

目で追うどころか、反応すら出来なかった。

後悔。

倒すべき時に倒しておけば、こんな事にはならなかった。

「古今無双ッ!!」

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魔力を纏った刃がバイを容赦なく切り裂く。

咄嗟に取ってみせた魔力防御など、まるで紙切れのように切り裂き、バイは地面に伏した。

そして、残された時間は、自身の走馬灯流れる事となった。

バイは、大国ゼバンに指名手配された犯罪者である。

そして、14年前にナルゼと同じく、ゼバンに席を置いていた騎士の一人でもあった。

恵まれた環境で育ち、実力者でもあった彼は、間違いなく、騎士団長の座を頂戴するはずだった。

しかし、超えられぬ壁がどうしても存在した。

ゼバンの英雄、ルッカ

ゼバン筆頭騎士、ナルゼ。

彼ら2人は、ゼバンに士官して間もなく、バイが積み重ねて来た功績を遥かに凌ぐ功績を立て、他の騎士達からも一目置かれていた。

経験も実績も、バイの方が上。

しかし、バイを慕っていた騎士達でさえ、

「あの2人はすげーよな。間違いなく、騎士団長になるだろうな」

「それに比べて、バイさんはなー。あの人ほど国に尽くした人はいないし、騎士団長になるって志しも分かるが、こうも実力が離れてるんじゃ無理無理」

などと、陰口を叩くようになったのだ。

騎士団長になるという志しを後押ししていた仲間達も、今では実力無き者の戯れ言としか捉えなくなった。

結果が全てだった。

彼は、今まで以上に努力したが、度重なる失敗が原因で、やがて誰からも相手にされなくなった。

さらに、追い討ちを掛けたのが、2人の言葉である。

ルッカとナルゼは、騎士の立場に固執してはいなかった。

ただ、ストリアを護るという約束のみで、行動していた。

そのため、無理もないのだが、バイの事を覚えていなかった。

それは、眼中に無いとも取れる。

だからこそ、彼は軍を離席し、【殺し】という快楽に溺れた。

全ては、自身の名を残すためにーー。

バイは、立ち去るナルゼを横目に、静かに息を引き取った。

第二章~EPISODE25【ナルゼの過去3】

反乱軍の戦力は3万。

それに比べて、ゼバンの戦力は、2万。

数では武が悪い。

だが、俺達は命を賭して戦った。

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「いけえええええ!!」

仲間が次々と倒れ、とうとう…、ゼバン城まで追い込まれてしまった。

「陛下を護れ!!」

仲間がレスト王を護り抜いて、死闘を繰り広げている中、俺はストリアを護りながら、闘っていた。

「次から次へと…!」

俺は、敵の攻撃をかわしながら、撃破しているが、数が多く疲弊していった。

「ほう。我の精鋭を相手に、一人で戦い抜くとは…。勇猛果敢な戦士だな」

体格が一際大きな男は、俺をそう讃える。

嬉しくもない。

「【フォレスト・ガーデン】族長、フォーレストか…」

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「我を知っているのか?」

「俺も軍人だからな」

武が悪過ぎる。

よりにもよって、【フォレスト・ガーデン】族長と対面する事になるとは思いもしなかった。

【フォレスト・ガーデン】族長、フォーレスト。

傭兵として、名を馳せた武人であり、世界屈指の実力者でもある。

「む?待てよ。貴様、あの時の小僧か?」

「覚えてもらって、光栄だ」

軍人に成り立ての頃、俺とルッカの初めての戦場で重傷を負わせられた。

実力差があり過ぎるって事は、身を持って知っている。

「もう一人の小僧は、どこだ?」

「あいつは、死んだ…」

「我としては、骨がある奴が死んで心惜しいが。貴様とは敵同士、ここで葬ってくれる」

フォーレストは、斧を振り上げて向かって来る。

ガキンッという鈍い音と火花が散った。

「何奴!?」

俺が受け止めようとした一撃をへルネルが受け止めていた。

「へルネル!?」

ストリアが驚きの声を上げる。

「ナルゼ。姫様を連れて、ここから逃げなさい」

「しかし…!」

「姫様を護るのが、私の使命。ですが、傍に居るべきなのは貴方のはずですよ」

「…すまない」

俺はポーチから煙玉を取り出し、地面に思い切り投げ付ける。

すると、煙幕が立ち込め、視界を奪った。

「小癪な!」

俺は、ストリアの手を引いて、逃げ出した。

逃げるのも戦術の一つとはいえ、へルネルが心配だ。

へルネルが作ってくれた逃げるチャンス。

だが、フォーレストの傭兵達はそれを許してはくれない。

簡単に逃げ道を塞がれてしまう。

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「ストリア、君だけでも逃げるんだ」

「何を言ってるのよ!貴方も…」

「それは出来ない…。俺は国を守ると言った。でも、それは果たせそうにない」

何も出来ないなんて情けない。

「せめて…君だけでも護ってみせる。それが、あいつとの約束なんだ」

「ナルゼ…」

「さぁ、行くんだ…」

俺は、ストリアを推しとばすと、背中に激痛が走り、吹き飛ばされてしまった。

「ナルゼ!」

「ぐあ…」

敵の兵士の呪文をまともに受けてしまったらしい。

「いけ!王妃を殺せ!!」

俺は倉庫のような場所で、剣を杖代わりにして、立ち上がった。

ストリアは、逃げずに俺に駆け寄って来てしまった。

「早く…逃げろ…」

「貴方を置いては、いけない…」

「ダメだ…」

「嫌なの!」

俺は言葉を失った。

ルッカと同じように…貴方まで居なくなるなんて…わたしは…嫌なの…」

ストリアは、泣き出してしまった。

「手こずらせやがって!」

「族長が来る前に、片付けるぞ」

兵士達が俺達に詰め寄って来る。

ここまでなのか…。

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『【チカラ】が【ホシイ】か?【ニンゲン】』

俺は、幻聴が聞こえてしまったのではないかと、錯覚してしまった。

辺りを見回すと、鎧が静かに佇んでいた。

肌で感じ取れる程、禍々しい魔力を纏っている。

『【コノママ】では、【シヌ】ぞ?』

この鎧から、言葉が発せられている。

言葉が聞こえているのは、俺だけのようだった。

悪魔の囁きというやつなのか?

『【ナニ】も、【ハタセズクチル】か?』

そうだ。

俺は何も果たしてない。

悪魔を頼りたくはない。

だが、このままじゃ、ストリアが殺されてしまう。

なら…俺は…。

「あっ!?ナルゼ!それに触れては駄目ぇッ!!」

俺は、鎧に手を触れた。

それからの事はあまり、覚えていない。

まるで、夢のようだった。

【殺す】という快感に溺れた俺は、敵兵士を容赦なく斬り伏せた。

力が溢れ、敵が目の前で死んでいく。

虫を殺すよりも、楽だった。

「ハハハハハハ!」

この力があれば、護れる。

そして、殺せる…。

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殺してやる。

殺し尽くしてやる。

全員…皆殺しだ。

邪魔する者全てだ。

甘汁だけ、啜るために存在する大臣も。

媚びへつらうクズ共も。

まとめて、俺が殺してやる。

簡単な事じゃないか。

我慢する必要はないんだ。

変えられないのなら、消せばいい。

そして1から作り直せばいい。

簡単な事じゃないか。

この力があれば、何だって出来る。

何だって出来るんだ。

楽しみだ。

ハハハハハハ。

「ナルゼ…」

何だ?

俺を呼ぶ声がする。

あれ?

何でこんなに血が…。

そうだ、ストリアを護るために。

ストリアは…

ーーー!?

「スト…リア…?」

護るべきはずのストリアが、俺の目の前で血を流して横たわっていた。

剣で斬られたような跡。

嘘だ…。

そんな…。

俺は…

ーーー何をしたんだ…?

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「ナルゼ…貴方は…悪くない…」

「嘘だろ…ストリア…死なないでくれ…」

「こんな…世界じゃ…こんな事が続く…だから…この…世界を…変え…て…」

俺がストリアの手を取ろうとした瞬間、力無く地面に落ちた。

「目を…開けてくれ…そんな…嘘だ…」

俺は悔いた。

自身の愚かさを。

俺が力に呑まれたせいで、ストリアを…。

ルッカとの約束を。

力があっても、何も変わりやしない。

約束さえ、守る事が出来なかった。

だから、俺は…戦う事を辞めた。

また…失うのか。

何も果たせず、約束さえ守れずに。

俺は…また、逃げ続けるのか。

失っちゃいけない…。

今度こそ…約束を果たす!

第二章~EPISODE24【ナルゼの過去2】

ーー孤児院。

「さぁ!ストリアが来たわよ!!」

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決めポーズを披露すると、孤児院にいる子供達は鼻で笑う。

ストリアは、勢いとノリで行動する。

そのせいか、子供達には、全くと言っていいほどウケない。

だけど、子供達は孤児院を設立した、ストリアに対しては感謝している。

ウケなくても、子供達の交流出来ている事に変わりはない。

それに、王妃だからと言って、堅苦しい関係よりは全然いい。

「また…ウケなかった……」

ストリアは落ち込むが、俺はそうと思わない。

子供達の心を開いているのだから。

「まるで、昔のわたし達みたいね」

「そうだね」

孤児院を設立したのも、行き場の無くなった子供達を保護するためだ。

ストリアは、昔から気が強くて、俺やルッカをのしてしまう程、喧嘩も強かった。

誰にでも、正面から向き合ってくれる。

そんな彼女に、俺とルッカも心を許せた。

驚きだったのは、ストリアがゼバンと同盟を結ぶ、小国テイリアの王族だったという事もあって連れて行かれてしまった。

ゼバンとテイリアは、互いの利益のために、政略結婚という形で、ストリアは国王レストと結婚した。

俺とルッカは、ストリアを護るため、ゼバンへ士官したのだった。

俺は、ルッカとの約束を守ってみせる。

ストリアを護る事を。

「この子達のためにも…、ストロットのためにも、わたし達が頑張らないとね」

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ストロット…。

ストリアとレスト様に出来た子…。

そうだ。

平和な世界を築く。

必ず、成し遂げてみせる。

「馬鹿な!同盟を結んで来た国々が反旗を翻しただと!?」

ゼバンに大きな障害が立ち塞がった。

同盟を結んだはずの国々が反乱軍として、ゼバンへ宣戦布告したのだ。

「無能な奴らめ!」

大臣達は、そう腹を立てるが、ゼバンにも問題はあった。

レスト王は、聡明なお方。

しかし、大臣達は、そうじゃない。

甘い蜜を啜るために、同盟国への圧政を敷いた。

即位して間もないレスト王には、この事実は大臣達に握り潰されるため、耳に届くことは無い。

同盟国の限界が来るのも時間の問題だった。

ストリアが尽力していたが、抑えられるものではなかった。

衝突は、避けられないだろう。

前線から遠のいていた、俺も戦場へ駆り出される事になる。

「レスト王、決断を…」

「大陸統一が我々の悲願。このような所で躓く訳にはいかん。無法者共を蹴散らすしかあるまい」

レスト王の苦渋の決断だ。

支援を惜しまなかったが、反旗を翻されてはそう決断するしかない。

大臣達のせいで、レスト王が支援をしたとしても、挑発としか受け取られなかったんだ。

皮肉なものだ。

「奴らは、傭兵部隊を率いております。我々も…」

【フォレスト・ガーデン】が誇る傭兵部隊。

一筋縄じゃ、太刀打ちできない。

「【|黒不死鳥《ハルファス》】を使うしかないだろう…」

俺は思わず、言葉を遮った。

「お言葉ですが、彼らは自警団です。軍人でもない者達を使うには…」

【|黒不死鳥《ハルファス》】は、自警団。

民間人を戦場へ駆り出す訳にはいかなった。

「言葉を慎め!自警団といっても実力者だ。それに国のために死ねるなら、奴らとて本望だろ」

「しかし…!!」

すると、レスト王は…

「ナルゼよ。分かってくれ…。国が滅ぶ訳にはいかないのだ」

「…承知致しました」

俺は感情を抑え込み、その場を後にした。

「【|黒不死鳥《ハルファス》】は、足止めに使うんだ…」

「ナルゼ!」

「ストリア…」

「ごめんなさい。わたしが、もっと対処出来ていたら…こんなことには…」

「君は悪くない…。誰も悪くないんだ」

おかしいのは、この世界だ。

手を取り合おうとしても、誰かがそれを邪魔をしてしまう。

変える事は、やはり出来ないのかもしれない。

「俺がこの国を護ってみせる。そして、君も…」

「ナルゼ…」

「行ってくるよ」

「どうか…無事で…!」

第二章~EPISODE23【ナルゼの過去1】

14年前。

まだ、ゼバンが大国と呼ばれる前に遡る。

「我が国の【英雄】である、ルッカの穴を貴様に埋めてもらう。良いな?」

俺は、大臣から、そう命じられた。

「はっ。命に変えても使命を全う致します」

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ルッカは俺と同じ孤児院で育った親友であり、良きライバルだった。

しかし、3年前に潜入した機関。

【ファルド王国騎士】養成機関で命を落とした。

【ファルド王国騎士】養成機関は、各国で選りすぐりの実力者を集め、自国の戦力を増強するために設立された。

かつて、敗戦したゼバンにとって、これ以上戦力を増強されては、太刀打ち出来ない。

そして、ホープと呼ばれる女オーガは、一騎当千の実力者と謳われる。

ゼバンにとっては、脅威でしかなかった。

そのために、ゼバンの中でも実力者と呼ばれた俺達が潜入した。

そして、幾度となく、ゼバンを救って来た、ルッカが監視対象であったホープを庇って戦死するなんて誰が予想したか。

誰であろうと手を差し伸べる、あいつの事だ。

それに、監視対象とはいえ、同じ釜の飯を食った仲間である事に変わりはない。

だとしても、失った存在が大きかった。

監視対象であったホープから、感じる魔力を見る限りでは、ゼバンの弊害になりはしなかった。

偶然に偶然が重なり、噂に尾ひれが付いただけのあやふやな情報。

たったそれだけの情報を得るためだけに、ルッカを失ってしまった。

それだけじゃない。

ホープを筆頭に、【|未来へ繋ぐ者達《テスタメント》】と呼ばれる機関が設立されたと聞く。

噂では、かなりの実力者揃い。

所詮、噂と片付けたいところだが、連ねる名を見る限りでは確実な情報だ。

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【大陸の女神】と呼ばれるフィンツ。

【あの守護者】の弟子と呼ばれたエイブル

【とある一族の末裔】アルミス。

【豪傑】と恐れられた武人、ゴウガ。

もし、仮にファルド王国が宣戦布告をして来たのなら、ゼバンに未来はない。

「どうしたものか…」

俺が思い悩んでいると、唐突に聞こえた声に少し驚く。

「どうしたものか、どうしたものか〜思い悩んでいるのは、誰でしょう〜」

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跪き、頭を下げる。

「ストリア王妃。いらしたのですね」

「もう〜!そんな堅苦しく畏まらないでよ!幼馴染みなんだから」

彼女は、ストリア。

俺が仕える、レスト国王の妃だ。

そして、ルッカと同じく孤児院で育った幼馴染みである。

「しかし…」

幼馴染みとはいえ、今となっては、王妃。

気軽に口を聞く事さえ許せない。

「いいの!わたしが良いって言ってるんだからいいの!!」

「分かったよ。それで、何の用だい?」

「あんたの事だから…この間の事、まだ気にしてるんじゃないかって」

「この間のこと?ああ…、あれはどう考えても俺が悪いな」

違うことを考えていたのだが、ストリアが言う、この間というのは、魔物が出現した事件の事だ。

俺が率いたゼバン王国騎士団は、魔物を取り逃し、ゼバンの近国であるシーブへの侵入を許したせいで、甚大な被害を出してしまった。

戦力3千に対して、魔物は1万以上。

不可能と呼ばれた戦いではあったが、防衛には成功。

しかし、他の国に被害を出した事実に変わりはない。

やりようはあったはずだった。

「大体、他の国が加勢してくれたら、被害なんて起きなかったのよ。小国だからって皆、バカにしてるんだわ」

俺は苦笑いを浮かべる。

他国への救援要請は受諾されなかった。

もし、ゼバンが大国ならば、他国は喜んで加勢しただろう。

自国へ有益なものへとなり得るからだ。

偽りの平和と呼ばれるのも頷ける。

「手を取り合う事は無理なのか…」

「そんなの、やってみなきゃ分からないわよ」

「え?」

「やる前から、決めつけないこと!いい!?」

「あ、ああ…。そうだね」

昔から変わってないや。

ストリアは…。

そう思っていると、侍女が軽く一礼し、声を掛けてきた。

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「ストリア様、そろそろ孤児院の方へ行かれる時間ですよ」

「そうだった!ありがと、へルネル!」

ストリアは、孤児院に駆け出して行った。

へルネルと呼ばれた侍女は、俺に視線を向ける。

「何か用かい?」

「元気そうで、安心しましたよ。てっきり落ち込んでるかと」

「正直、落ち込んでるさ。でも、ストリアが前を向いてるなら、俺も前を向かなきゃな」

へルネルは、俺達と同い年で、ストリアの侍女兼護衛だ。

騎士の訓練指導もしている実力者でもある。

「そうですか。では、ストリア様をお願い致します。私は、侍女達の訓練に戻りますので」

「ああ」

第二章~EPISODE22【守るべき約束】

アルバ王国近郊ーー。

「皆…無事か…?」

アルバ王国の近郊までやって来ていた、ナルゼ達は、爆風の衝撃を受け、地面に転んでいた。

ナルゼは、フリーデンを抱きながら、爆風の盾となった。

護衛であるアルバ王国騎士も、ふらふらとした様子で立ち上がる。

状況を把握する間もなく、騎士達の悲鳴が上がった。

「がっ!?」

「ぐあっ!?」

ナルゼや他の騎士達が、迫り来る攻撃を捉えようとするが、姿を捉える事は出来ず、攻撃が一方的に仕掛けられる。

「敵はどこだ!?がはっ!」

騎士の背中から血が噴き出し、地面に倒れる。

「全員、背後を斬り付けろ!」

残った騎士達は、背中へ向けて剣を振る。

すると、何もない場所から血のような跡が宙に浮かび上がる。

「あら…もうバレてしまったわ。以外にやるのね」

「何者だ!!」

残った騎士5人は、フリーデンとナルゼを護るように陣を組む。

「別に名乗るような者ではないのだけれど、と・く・べ・つに教えてあげるわ♪」

姿を現すと、騎士達は思わず後ずさる。

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ある程度、鍛えた肉体に、ドレス姿の男。

いわゆる、オカマと呼ばれる者だった。

「アタシは、【|黒不死鳥《ハルファス》】幹部の一人、バイ…!?」

バイ、と名乗った男は、騎士の繰り出した攻撃をひらりとかわす。

「もう〜やだ!血の気多すぎよっ」

バイは、頬を膨らませて怒る。

最早、気持ち悪い。

「【|黒不死鳥《ハルファス》】だと…?貴様目的は何だ?」

ナルゼは、耳を疑ってしまった。

その組織の名を聞く事になるとは、思わなかったからだ。

「目的?ん〜、正しき世界のためって言われてるけど、アタシはどうでも良いのよね。いっぱい殺せるから♪」

「ふざけたことを…」

ナルゼは、込み上げる怒りを抑える。

「用心しろ」

ナルゼが騎士達に指示を出す。

ふざけた身なりをしているが、感じる魔力から察するに只者ではない。

するとバイは、ゆらーり、ゆらーりと、体を左右に振る。

残影を残しながら、緩やかに体を振るわせた。

何か来ると、身構えた騎士達とは裏腹に、気絶しているフリーデンを抱えながら、ナルゼは飛び退いていた。

「避けろ!」

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ナルゼの指示が騎士達に届いた時には、もう遅かった。

「|精神崩壊《マインド・ブレイク》」

怪しげな、閃光が騎士達を包み込むと、騎士達は目が虚ろになり、力無く地面に倒れた。

「一体何を…」

「|精神崩壊《マインド・ブレイク》。相手の精神に入り込み、過去のトラウマを再発させて意識を奪う。永遠の植物人間にするってわけよ。素敵でしょ?」

「その能力…。まさか、ゼバンで指名手配中の…【精神】のバイか!」

数年前、遠征中のゼバンの騎士団が壊滅した事件が起きた。

外傷はなく、決して意識が戻らない騎士達を残した怪事件。

その当事者となれば、相当の手練だ。

「あら、ご名答。流石、アルバ王国騎士団長。いえ…この方が正しいかしら?」

ナルゼは、息を呑む。

「元、大国ゼバンの筆頭騎士さん♪」

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「…」

「期待しているわよ?今までの相手より、強いって事にね♪」

ナルゼは、気絶しているフリーデンを横たわらせ、剣を引き抜き、バイに対峙する。

「あら?貴方、震えているわよ」

バイは、ナルゼの構えを見て、嘲笑う。

ナルゼが構える姿は、滑稽に思える。

まるで、産まれたての小鹿のようだ。

かつて、大国ゼバンを幾度となく勝利に導いて来た筆頭騎士とは思えない程だ。

怯えてるようにも取れる構えだからだ。

「もしかして…貴方、凄く弱いんじゃない?拍子抜けね♪」

ナルゼは防御の姿勢を取り、バイの攻撃を受け流す。

「防御だけは、得意のようね!」

繰り出して来た連撃を受け流して、猛攻に耐えるが、バイは本気を出していない。

本気で相手にされたのなら、今の状態では太刀打ち出来ないだろう。

「ぐっ…!」

バイの振り回す扇は、ナルゼの身体の節々を斬りつけていく。

必死に防御を取っているのだが、ダメージを受ける箇所が悪く、血が滲み、力が弱まっていった。

バイも必要以上に、ダメージの箇所を増やしていく。

嬲り殺しだ。

ナルゼは、距離を取ったものの、膝を着いてしまう。

「あらぁ?大した事ないのね。筆頭騎士と言っても」

バイは落胆する。

噂では、【大陸最強】を凌ぐ程の実力者。

それをバイが圧倒している。

弱体化しているとはいえ、ナルゼの首を取れば、幹部の中でも評価は上がり、地位は安泰。

カモだ。

「王女を頂いて貴方を殺せば、アタシの仕事は終わりなの。だから、死んでちょーだい♪」

(王女を頂く…?まさか…姫の能力を知っているのか…)

ナルゼは、バイの影に巨大で底知れぬ何かを見た。

考えたくはない。

それだけの力を持った国が絡んでいる。

やはり…。

「|精神崩壊《マインド・ブレイク》」

「うっ…」

「これで終わりよ♪」

ナルゼは薄れゆく意識の中、フリーデンに目を向ける。

(また…俺は…)

第二章~EPISODE21【ゴウガVSヨルカ】

「ハァッ!!」

ゴウガから繰り出される拳は、ヨルカの全身を強打。

体がふわりと浮き上がっても、容赦なく追い討ちを仕掛ける。

繰り出された猛撃を浴びた。

地面に転がり、ゴウガは呼吸を整える。

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普通なら、とっくに死んでいてもおかしくはない。

それなのに、ヨルカは、フラフラと立ち上がってみせた。

「まだ立つか。エイブル様の護衛を務めていただけの事はある」

「あ〜あ」

ヨルカは、流れ落ちる血を拭い、口をもごもごとさせる。

「ぷッ」

血と共に何かを吐き出す。

「?」

ゴウガは、視線を落とすと、歯が地面に転がっていた。

「歯…折れちゃったよ。また生えるかな〜?」

歯が折れる事よりも、気にする事は多いはず。

先程から一方的に繰り出される連撃。

それを食らって、この余裕。

骨の1本や2本。

いや、全身複雑骨折してもおかしくはない。

ゴウガの一撃は、地を割る程だ。

人間の骨など、木の枝を折るように容易い。

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「そうそう、ゴウガさん」

「何だ?今更、攻撃の手は緩めんぞ?」

「そうじゃなくってさぁ〜」

ヨルカは、ニタリと笑みを零す。

「その程度?」

「何?」

「組織で、【攻撃】だけなら指折りの実力者って聞いてたけど大した事ないんだね〜って思ってさ?」

反撃のチャンスを伺っているのか、単なる強がりなのかは知らない。

安い挑発だという事だけは分かる。

「なら……」

敢えてゴウガは安い挑発に乗り、瞬時に移動し、ヨルカの顔面目掛け拳を振り抜いた。

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拳がめり込むと、ヨルカは血を吐き出す。

決まった。

ヨルカはゴウガの顔面を蹴り上げようとしたが、受け止められ、逆に蹴りあげられてしまった。

ばくれつけんッ!!!」

宙に浮き上げた状態で、とくぎである【ばくれつけん】を繰り出す。

魔力を込めて発動させて、とくぎ。

確実に息の根を止めた。

ヨルカは、地面に倒れ動く事はない。

「次は貴様だ…タキア。裏切った事、その命で償ってもらうぞ」

「お遊びは、そこまでにしたらどうですか?」

タキアがそう口にする。

「ヨルカ」

「なん…だと?」

立っていた。

息の根を止めたはずのヨルカが、血を吐き出しながらニヤァっと笑う。

「馬鹿な。確実に息の根を止めたはず…」

「別にぃ?遊んでた訳じゃないって〜」

ヨルカは、首の骨を鳴らし短剣を構える。

「嘗めるなッ!」

攻撃がヨルカの顔面に炸裂すると同時に、ゴウガは腕に痛みを感じる。

反射的に距離を取り、指で傷口に触れた。

それは、自身が流した血だった。

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「げえええっ」

ヨルカは、ゲロを吐くように大量の血を吐き出す。

「ふぅ〜。当たった当たった」

「ふん。かすり傷を当てたくらいで、俺は倒せんぞ」

「い〜や?」

「ぐっ…!?」

ゴウガは、突然、視界が歪み、地面に膝を着いてしまった。

「まさか…毒…?」

「毒?そんなんじゃないよ」

ヨルカは、首を横にコキコキと鳴らして見せ、軽くステップを踏む。

「何…!」

ヨルカの全身は、既に複雑骨折どころか、粉砕している。

体を動かすことさえ、不可能なはず。

「うぐっ!?」

ゴウガは、血を吐いて地面に突っ伏した。

全身を駆け巡る痛み。

かすり傷で、このダメージ。

「うーん。肩はまだ上がらないか〜」

「何を……!」

「ダメージを返してあげただけだよ?そんなに驚く?って言っても…、かすり傷じゃあ大して返せてないけどね〜」

何を言われているのか、理解出来なかった。

ゴウガは、圧倒していたはずだ。

しかし、ヨルカの様子から察すると、本気で相手にされていなかったのだろう。

【ダメージカウンター】。

ヨルカの能力。

受けたダメージを短剣を通して、相手に返す事が出来る。

そのため、受けた傷は回復というより、元に戻る。

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「あんたを数回、斬りつければ…。簡単に倒せるけど…、それじゃ面白くないしね〜」

手加減。

ゴウガにとっては、耐え難い屈辱だった。

倒すため、全身全霊を懸けた。

しかし、ヨルカにとっては遊びに過ぎないという。

裏切るという行為ばかりか、命を懸けた戦いにさえ、水を差す。

「そうか…俺は覚悟が足りなかったようだ…ふんッ!」

ゴウガは呼吸を整え、魔力を全身へと巡らせ、解放してみせる。

「ふーん…」

「【魔力解放】ッ!この一撃で、貴様を打ち砕いてみせる!」

ゴウガは、踏み込みは、地を揺らす程だった。

「ハァァァァァァァッ!!!」

全魔力を込めた、渾身の一撃。

パシン。

「なに…!?」

目を疑った。

これは、現実なのかと自問自答してしまうほど、信じられない光景が目の前にある。

全身全霊を懸けた渾身の一撃。

それをヨルカは、片手で受け止めていた。

「やっぱり、ちょっと本気出すだけで、相手にならないかー」

「馬鹿な…がっ!?」

ヨルカの繰り出した膝蹴りは、ゴウガの肋をいとも簡単に砕いた。

【魔力解放】をしている中で、易々と破られる訳がない。

それほど、ヨルカの魔力がゴウガを上回っているのだろう。

「う…、がは…」

血を吐き散らす中で、ヨルカは人差し指でゴウガの顎を軽く押しやる。

「あんたが何をしようと、私には【絶対】勝てないよ?」

耳元で囁くと、ゴウガは嘔吐を堪え、意識を保ち反撃を試みようとする。

容赦なく、ヨルカはゴウガの腕をへし折り、質問を始めた。

「死ぬ前に教えてよ。例の結晶体は何処にある?」

「知るか…。知っていたとして…貴様らなんぞに!」

ゴウガは、何も知らない。

知っているのは、エイブルだけだ。

「あっそ」

ヨルカは、短剣を振り抜くとゴウガの首元を捉え、血を噴き上げ地面に倒れた。

「行こっか。タキア」

「ええ」

ヨルカは、体を伸ばして、アジトへゆっくりと歩みを進めるのだった。

第二章~EPISODE20【消滅!?アルバ王国】

アルバ王国、南東に位置する林において。

「やっぱし、外れないか」

ホープの従者は、フィルゼン達が出立後、アルバ王国へと訪れていた。

今は、エイブルに装着された鎧を外そうと試みている。

従者の体内に眠る膨大な魔力をコントロール出来なければ外せない特別製。

8年の月日が流れても、兜を外すには至っていない。

外す方法を知っているというナルゼを頼りに来たものの、不幸な事に不在。

兜を外さない事、12年。

成長した自身の顔すら見れていない。

「あんまし、強くなさそー…」

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ボソッとした声が、従者の耳に刺さる。

「君、だれ? 」

立っていたのは、仮面を付けた和装風な少女であった。

両腰には、爪のような武器が携えられている。

仮面のせいか、殺気のようなものを感じられずにはいられないが、少女自身からは、全く感じなかった。

「あ、わたし?プラータ!まー、今から始末する相手だし」

「俺を倒す…か」

従者は携えている剣ではなく、拳を握り、構えた。

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「何の真似?武器が無くても勝てるってこと?」

「そんなんじゃないけどな」

「死んで後悔しても遅いから!」

アルバ王国城下町。

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「ねぇねぇ、ヘレス。すっごく発展してない?この国」

トレートルが辺りを見渡しながら、そわそわと体をくねくねと震わせている。

「そうだな」

「あ〜、どうしよう!この溢れんばかりの魅力に女の子が寄って来たら!グフフフ」

「馬鹿じゃないのか?」

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冷静に辛辣な言葉を言い放つと、トレートルが大袈裟に落胆する。

強者とは思えない振る舞いなのだが、2人にとっては、コミニュケーションの一つでもある。

敵地とはいえ、ふざけるだけの余裕さえあるとも捉える事ができる。

「酷い…酷いよ、ヘレス…」

嘆き悲しんでいると、アルバ王国の兵士に声を掛けられる。

「ここは避難勧告が出ている。早く立ち去れ」

アルバ王国は、警戒態勢。

避難誘導途中だ。

当然、アルバ王国の兵士達は、敵だとは知る由もない。

避難勧告が出ている中、心配して声を掛けたのだ。

「だって?」

「呑気なものだ」

アルバ王国城。

「イル。念の為に、魔力を感知してくれないか?」

アルドは、警戒に当たっている兵士達の状況を確認し、感知能力が備わっているイルへと頼む。

万が一、敵が潜入している可能性を考慮しての判断である。

「了解です!」

イルは元気よく、引き受けると、魔力を集中させる。

目を瞑り、辺りの魔力を感知していく。

イルは戦闘能力が乏しいが、感知能力に関してはアルバ王国随一だ。

「ア、アルドさん…!」

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すると、血相を変え、声を震わせる。

「どうした?」

「どす黒い魔力が…2つ…いや、4つ…おぇっ」

大過ぎる魔力量に耐えきれず、イルが嘔吐してしまう。

今まで感じた事のない魔力。

敵がもう、懐まで迫っていた。

「んー、感じたかい?ヘレス」

「ああ。お前、魔力をちゃんと抑えたんだろうな?」

「風で吹き飛んだら、死んじゃうくらいには」

冗談混じりにケラっと笑う。

トレートルとヘレスは、自身の魔力量を抑え込み、感知されないようにしていたのだが、イルに感知された事を察知していた。

「面白くなりそうだねー」

「だといいがな」

2人の足元には、既に兵士達の死体が転がっていた。

「隠れてないで、さっさと出てきたら?」

テティは、背負っていた槍に手を掛け、誰もいないはずの場所へと視線を向ける。

「おや?気付いていたんですか」

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そこから、鎌を携え、異様な雰囲気を放つ、少女が姿を現した。

「当然でしょ。さっきから、コソコソと…。何者?」

「知る必要は、ありませんよ。どうせ、ここで消えてもらうのですから」

「そう簡単にやられると思う?」

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「そろそろ、時間ですからね」

「さてと…始めるかー」

トレートルは、首の骨をコキリと鳴らし、地面に両手を付ける。

「貴様ら、そこで何をやってーーー」

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騒ぎを聞き付けた兵士達が来た時だった。

瞬間ーーー。

「爆進撃」

トレートルが抑えていた魔力を一気に解き放つと、そこから地面が捲り上がり、兵士諸共、城下町が爆風の波に呑み込まれる。

建物は粉砕され、築き上げて来た、人々の文化を嘲笑うかのように無情に全てを消し去った。

トレートルを中心に爆心地が出来上がる。

「痛たた…。連続は流石にツラい」

トレートルは、腰を抑えた。

「そーいえば…。ヘレス」

「何だ?」

「あの子らは、連れて来たのかい?」

「……」

「ヘレス?」

「……忘れた」

「うそーん…」

トレートルは、この能力で、あらゆる国を消し飛ばして来た。

これだけの爆発が起きて、周囲の人間が気付かないわけが無い。

それを抑制するのが、ヘレスの部下達なのだ。

しかし、ヘレスが忘れてしまった事により、周囲の国々は、異変に気付くだろう。